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第11回 三建研修会
日頃、管理をお任せいただいているオーナー様向けの第11回三建研修会を、2025年7月19日(土)、中野セントラルパークカンファレンスで開催しました。
前半は三建代表・小川より地価動向と贈与・相続税の基本的な説明を行い、後半では相続診断士・不動産鑑定士の岩間修司先生が相続対策の具体的事例について講演しました。
◆2025年の地価動向について
日本で最も地価公示が高い銀座の山野楽器の坪単価が約2億円(前年比8.6%増)となりました。中野区商業地の地価公示は再開発の影響もあり、坪単価約2,200万円で前年比23.7%も上昇しました。野方エリアの商業地も10%上昇しています。全国平均でも住宅地が2.1%増、商業地が3.9%増と、全体的に地価公示は上昇基調にあります。
一方で、レインズのデータによると、中古マンションの成約価格は8ヶ月連続で上昇(前年同月比5.1%増)している一方、中古戸建は2ヶ月ぶりに下落(前年同月比1.9%減)しており、市場には頭打ち感も見られます。
◆贈与税と相続税の基本説明
岩間先生の講演の前に、三建・小川が贈与税と相続税の違いについて説明しました。4,000万円の現金を息子に贈与した場合、贈与税は約50%かかるのに対し、相続で受け取った場合は約10%となり、贈与と相続で税金が大幅に違う事が分かります。
例えば息子に贈与を行う場合、贈与税の税率は4,500万円を超えると55%の税率であるのに対し、相続税は6億円を超えて初めて55%になるなど、贈与税の方が高く設定されています。また、不動産を購入することで相続税評価額が下がる仕組みについても具体例を挙げてご紹介しました。
◆贈与税と相続税の実効税率の考え方
贈与税と相続税の実効税率(実際にかかる税率)について、小川の考え方をお伝えしました。相続財産の額によっては、一定額までの贈与は相続税よりも実効税率が低くなる場合があります。例えば、息子1人に相続を行う場合、相続財産が9,000万円の場合の相続税実効税率は10.2%であるのに対し、500万円の贈与の実効税率は9.7%となるため、このケースでは生前に500万円を贈与した方が得ということになります。ただ、高齢の時にこの生前贈与を行っても、持ち戻しの制度があるため効果を発揮しない場合があるため、やはり若いうちに行うことが重要となります。つまり、一般的な110万円の非課税枠だけでなく、相続税の実効税率と比較して贈与額を検討した方が良いという事になります。
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後半は相続診断士の岩間修司先生の講演です。相続診断士は相続診断書を作成し、相続税の試算や遺言書作成のサポートなどを行う専門家です。岩間先生は不動産鑑定士でもあり、今回は、不動産オーナー様の相続対策の具体的事例を通じて、相続対策の必要性を説明していただきました。
◆事例1:遺言書と遺留分対策
85歳の女性の相続対策事例です。夫が他界し、3人の息子がいますが、次男・三男とは10年前の夫の相続で揉めて疎遠になっていました。5年前に長男に全財産を相続させる遺言書を作成していましたが、長男は相続税と、次男・三男からの遺留分請求を心配していました。
そこで岩間先生が相続診断書を作成し、税理士が相続税は438万円と試算しましたが、遺留分侵害額は次男・三男合わせて6500万円に達する可能性があることを指摘。また、長男が先に亡くなった場合、現在の遺言では孫娘が財産を相続できない問題があることもわかりました。
岩間先生は相続対策として、
①遺言書の書き直し(予備的遺言の追加)
②養子縁組(孫娘を養子にして次男・三男の遺留分を減らす)
③生命保険の活用(預貯金を保険に変えて遺留分計算の基礎財産から外す)
…といったことを提案。
これらの対策により、遺留分侵害額は6500万円から4375万円に減少し、相続税も438万円から132万円に減少しました。
また、長男が先に亡くなった場合でも孫娘が確実に財産を相続できるよう遺言書を再作成しました。
◆事例2、3:相続で揉めた失敗事例2例
1つ目は会社経営者の母親の相続で、長男と次男の関係が悪化していたにもかかわらず遺言書がなく、2年間の争いの末、長男が不動産を相続する代わりに次男に多額の代償金を支払うことになった事例を紹介しました。
2つ目はアパートオーナーの父親の相続で、長男が介護や管理を担っていたにもかかわらず遺言書がなく、姉が予想以上の財産分与を要求し、長男は借金のないアパート1棟と4000万円の代償金を支払うことになった事例です。
両事例の共通点として
①遺言書がなかった
②財産分けに偏りがあった
③遺産分割協議に息子の配偶者が介入した
…以上の3点を挙げました。
◆事例4:相続対策の成功事例
82歳の男性の相続対策の成功事例を紹介。
この男性は4階建てマンション(借入金8000万円残)と木造店舗(一部土地は弟所有)を所有していました。岩間先生は相続診断書を作成し、現状の相続税は1000万円と試算しましたが、借入金が完済される8年後には相続税が2800万円に増加する可能性を指摘。また、マンションの収支分析を行い、マンション単体では年間48万円の赤字であることを見つけました。
対策として、①借入金の返済期間延長(キャッシュフロー改善と相続税軽減) ②弟所有の土地購入(将来の土地活用と相続財産圧縮)を提案。
まず、金融機関と交渉した結果、借入金の返済期間を5年延長し、金利も1.65%から1.45%に引き下げることに成功。また、弟所有の土地を2900万円で購入するため、新たに3000万円の融資を受けて、これにより毎月の返済額は87万円から68万円に減少し、年間約200万円のキャッシュフローが改善、将来の相続税も2800万円から2000万円に減少する見込みとなりました。さらに、浮いた資金で子供たちに毎年100万円ずつ贈与し、その資金で子供たちが母親を被保険者とする終身保険に加入することで、2次相続対策も行いました。
また、相続対策の効果として
①会社員である長男が父親から賃貸管理を引き継ぐようになった
②兄妹が将来の相続について真剣に話し合うようになった
…という2つの前向きな出来事がありました。
◆相続対策の重要性、まとめ
相続対策の重要性について「相続対策は相続後のやるべきことの前倒し」であり、問題を残された家族に後回しにせず、事前に準備することが大切だと強調しました。
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今回の岩間先生のお話の中で、「うちだけは大丈夫と思わないでください」という投げかけがとても大切なことだと思います。ご参加いただいたオーナー様からも、「相続対策の重要性を再認識した」というご感想を多くいただきました。
相続対策は、ご家族で話し合うことが大切です。子や孫から話を切り出すことは、心理的になかなかむずかしいものです。ぜひ年長者(上の代)の方から相続の話を切り出していただき、スムーズに対策を進めていただければと思います。
今回の研修会の関連イベントとして、7月27・28日に三建事務所において無料の相続相談会を開催しました。 2日間で多くのオーナー様が参加され、今回の研修会が意義あるものであったと感じました。
また、三建では通常業務としても不動産に関する相続のご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。